2007年12月04日
クリスマス・キャロルの一歩手前
秋というよりもう冬という時節であり、間もなく街にはクリスマス・キャロルも鳴り響く季節ながら、完全に冬になりきれないような陽気。そんな中、12/2(土)に横浜・元町にあるふらんす懐石のお店「修廣樹(注:リンク先は音が出ます)」で食事を楽しんできた。
相方の●回目の誕生祝ということで、久しぶりに訪れた店である。以前はJR線石川町駅からのアクセスしかなくやや駅から遠い印象だったが、今はみなとみらい線ができ、その終点である元町・中華街駅からほど近いため、東急東横沿線の我々にとっては随分身近な店となった。身近といってもあくまで時間的なアクセスという意味で、決して値段的にはなかなか「ちょっと行ってみようか」というカジュアルな感じではないのだが・・・・・・。
さてこの修廣樹というお店、ふらんす懐石を謳っているとおり、フレンチでありながら箸で食べることができる。ナイフやフォークも用意されているが、一つひとつの料理は箸でも食べられる形で出てくる。日本人としては(少なくとも我々にとっては)、これは非常にありがたい。
当日いただいたメニューは、3つあるコース(和風な言い回しをすれば松竹梅か・・・・・・)のうちミドルグレードのコース(和風にいえば“竹”)をオーダーした。誕生祝ということもあり一番ハイグレードなコースを提案したが、メニューにフォアグラが入っていた(相方はあまり得意でないらしい。ちなみに自分もあまり・・・・・・)のと全体にかなりボリュームがありそうなのとで、このコースにしようと決まった。
11月(注)のコースのメニューは、次のとおりである。(注:12/2までは11月のメニューだとお店のオーナーがおっしゃっていた)
・ 人参のパピヨット・人参のマルムラード・人参バター
・ トマトのムースリーヌとエスプーマ、シシリアン・ルージュのコンフィ、茄子カレーのフォンダンとヒイカ ”オリエンタル・プロヴァンス”
・ 薩摩芋のプリンを浮かべた、軽やかな栗のスープ
・ 三浦の法蓮草・根セルリのピュレ、知床産・真鱈のムニエールと塩鱈のエフィロッシュ
・ 曲がり葱のエチュベを添えた、地椎茸と鶉胸肉の炭火焼ブロシェットをトリュフのソース・ペリグーで、鶉モモ肉はカッスーレにして
・ ナチュラルな蜜柑の丸ごとコンポートとカンパリ風味のクーリ
・ 青森産・紅玉林檎をシンプルでシャープなふたつの個性で
・ ほんのりとブルーチーズ香るラ・フランスのシュー・ア・ラ・クレームを一口
一目見てかなり個性的だと思われるであろう。また気付かれた方もいるかもしれないが、各メニューの最初にくるのは、野菜である。どうやらこのお店のシェフは、かなり野菜にこだわっているらしい。実際、オードブルの最初に出てきた人参づくしのメニューは、見た目には本当に皿の上に人参が載っているというイメージしかないのだが、その人参をホイルで包んで焼いたものに人参で作ったソース(マルムラードというらしい)が添えられ、さらに人参バター、岩塩(ほんのちょっぴり)に何と人参の葉まで添えられている。一口のオードブルで人参がいわば丸ごと味わえるという趣向である。食べてみれば、これぞプロの仕事(それも一流の)である。私のような味音痴な者でもわかる。
次に出てきた皿は、トマトが生だったり、焼いてあったり、さらにソースにもなっており、傍らにはトマトのムースとトマトのジュースから作ったという泡状のソースというトマト尽くしである。
トマトから作ったのに泡状のソースが白いのには驚いた。しかし食べてみると何とも優しい、たおやかなトマトの味がする。
これらをヒイカにつけながら食べるのだが、トマトでありながらいろいろな味が楽しめて、楽しい一皿である。全体に優しい味わいなだけに、フレンチにはなかなかないであろうカレー風味の茄子を細かく刻んだものが時々刺激的なアクセントとなる。
コース料理はスープ、魚料理、肉料理と続き、どの皿もしっかりと野菜が主張しつつメインの食材を盛り立てている。薩摩芋と栗のスープは、まさしく秋の恵みを感じる。根セロリのピュレは、独特のセロリのどぎつさはなく、あくまでもはんなりとした爽やかさを添えてくれている。地椎茸は実に滋味にあふれていて、トリュフとバルサミコをベースとしたソースがそれに負けない風味を注ぎ込んでいる。
どれをとっても本当に野菜がうまくあしらわれていて、圧巻されるほどであるが、デザートに出てきた丸ごと蜜柑のコンポートは、中でも一番の素敵なサプライズだった。自分は蜜柑があまり得意でないのでチーズの盛り合わせにしたが、相方の目の前に置かれた蜜柑のコンポートは、その名の通り皮もついたままの“丸ごと”蜜柑であった。「皮ごと食べるのだ」という。
最初は恐る恐る口に運んだ相方も、一口食べて「美味しい」と目を見開いた。皿に残ったオレンジ色も鮮やかなソースを一すくいお相伴にあずかったが、程よく酸味と甘みが溶け合っている。このコンポートのためにきっと蜜柑の種類も吟味されたであろうことが伝わってくる。それ以外のデザートも季節のみずみずしい果物が中心になっており、重たいという印象のあるフレンチのデザートだが、この店にあってはそのような感じは全くしない。
コースの皿が進むごとにいつしか笑顔になってゆく。
ワインはあまり料理の邪魔にならないものをと思いつつ、乾杯のシャンパンの後、2004年に新しくできたフランスのシャトーの初物という言葉に引かれて、その白ワインを注文した。「ノンフィルター」でろ過しないまま詰めたというワインは、白というより琥珀色で、味はまだ若く、甘さが強いがかなりのコクである。ちょっと今までに体験したことのないワインだった。
こういった店でワインに合わせて料理を注文するということはしないが、結果として力強くも優しい料理とよく合ったと思う。
デザートの前には、予め「誕生日祝い」で来店する旨を告げておいたおかげで、お店の方が小さな花籠に細い一本のキャンドルを立ててテーブルの上へ。店員の「おめでとうございます」の言葉に促されて、本人(相方)がキャンドルの炎を吹き消すと店内で拍手が沸くという趣向である。テーブルに置かれた花籠は、お店からの心づくしのプレゼントということで、帰りに袋に入れて持ち帰らせてくれる。
野菜をメインに据えた料理というコンセプトといい、記念日のささやかな趣向といい、元町というロケーションと合わせて女性にはきっと気に入ってもらえるお店である。
昨今、横浜の山の手地区もみなとみらいの商業地化のあおりが少しずつ押し寄せているような気がする。山下埠頭の象徴の一つであった赤レンガ倉庫もいつしかデパート化してしまった。外観はわずかにかつての倉庫の佇まいを残してはいるが、そこが本当に倉庫だった頃は遠めに眺めつつあまり人の多くない道を散策できるスポットに、今や多くの老若男女が集う様を見るにつけ少々寂しさを覚えてしまう。
私が好きだったエキゾチックなヨコハマは、どこに向かうのだろう?
元町が、そしてそこにひっそりと店を構える修廣樹がこの時代の大波にのまれないことを祈りつつ・・・・・・
相方の●回目の誕生祝ということで、久しぶりに訪れた店である。以前はJR線石川町駅からのアクセスしかなくやや駅から遠い印象だったが、今はみなとみらい線ができ、その終点である元町・中華街駅からほど近いため、東急東横沿線の我々にとっては随分身近な店となった。身近といってもあくまで時間的なアクセスという意味で、決して値段的にはなかなか「ちょっと行ってみようか」というカジュアルな感じではないのだが・・・・・・。
さてこの修廣樹というお店、ふらんす懐石を謳っているとおり、フレンチでありながら箸で食べることができる。ナイフやフォークも用意されているが、一つひとつの料理は箸でも食べられる形で出てくる。日本人としては(少なくとも我々にとっては)、これは非常にありがたい。
当日いただいたメニューは、3つあるコース(和風な言い回しをすれば松竹梅か・・・・・・)のうちミドルグレードのコース(和風にいえば“竹”)をオーダーした。誕生祝ということもあり一番ハイグレードなコースを提案したが、メニューにフォアグラが入っていた(相方はあまり得意でないらしい。ちなみに自分もあまり・・・・・・)のと全体にかなりボリュームがありそうなのとで、このコースにしようと決まった。
11月(注)のコースのメニューは、次のとおりである。(注:12/2までは11月のメニューだとお店のオーナーがおっしゃっていた)
・ 人参のパピヨット・人参のマルムラード・人参バター
・ トマトのムースリーヌとエスプーマ、シシリアン・ルージュのコンフィ、茄子カレーのフォンダンとヒイカ ”オリエンタル・プロヴァンス”
・ 薩摩芋のプリンを浮かべた、軽やかな栗のスープ
・ 三浦の法蓮草・根セルリのピュレ、知床産・真鱈のムニエールと塩鱈のエフィロッシュ
・ 曲がり葱のエチュベを添えた、地椎茸と鶉胸肉の炭火焼ブロシェットをトリュフのソース・ペリグーで、鶉モモ肉はカッスーレにして
・ ナチュラルな蜜柑の丸ごとコンポートとカンパリ風味のクーリ
・ 青森産・紅玉林檎をシンプルでシャープなふたつの個性で
・ ほんのりとブルーチーズ香るラ・フランスのシュー・ア・ラ・クレームを一口
一目見てかなり個性的だと思われるであろう。また気付かれた方もいるかもしれないが、各メニューの最初にくるのは、野菜である。どうやらこのお店のシェフは、かなり野菜にこだわっているらしい。実際、オードブルの最初に出てきた人参づくしのメニューは、見た目には本当に皿の上に人参が載っているというイメージしかないのだが、その人参をホイルで包んで焼いたものに人参で作ったソース(マルムラードというらしい)が添えられ、さらに人参バター、岩塩(ほんのちょっぴり)に何と人参の葉まで添えられている。一口のオードブルで人参がいわば丸ごと味わえるという趣向である。食べてみれば、これぞプロの仕事(それも一流の)である。私のような味音痴な者でもわかる。
次に出てきた皿は、トマトが生だったり、焼いてあったり、さらにソースにもなっており、傍らにはトマトのムースとトマトのジュースから作ったという泡状のソースというトマト尽くしである。
トマトから作ったのに泡状のソースが白いのには驚いた。しかし食べてみると何とも優しい、たおやかなトマトの味がする。
これらをヒイカにつけながら食べるのだが、トマトでありながらいろいろな味が楽しめて、楽しい一皿である。全体に優しい味わいなだけに、フレンチにはなかなかないであろうカレー風味の茄子を細かく刻んだものが時々刺激的なアクセントとなる。
コース料理はスープ、魚料理、肉料理と続き、どの皿もしっかりと野菜が主張しつつメインの食材を盛り立てている。薩摩芋と栗のスープは、まさしく秋の恵みを感じる。根セロリのピュレは、独特のセロリのどぎつさはなく、あくまでもはんなりとした爽やかさを添えてくれている。地椎茸は実に滋味にあふれていて、トリュフとバルサミコをベースとしたソースがそれに負けない風味を注ぎ込んでいる。
どれをとっても本当に野菜がうまくあしらわれていて、圧巻されるほどであるが、デザートに出てきた丸ごと蜜柑のコンポートは、中でも一番の素敵なサプライズだった。自分は蜜柑があまり得意でないのでチーズの盛り合わせにしたが、相方の目の前に置かれた蜜柑のコンポートは、その名の通り皮もついたままの“丸ごと”蜜柑であった。「皮ごと食べるのだ」という。
最初は恐る恐る口に運んだ相方も、一口食べて「美味しい」と目を見開いた。皿に残ったオレンジ色も鮮やかなソースを一すくいお相伴にあずかったが、程よく酸味と甘みが溶け合っている。このコンポートのためにきっと蜜柑の種類も吟味されたであろうことが伝わってくる。それ以外のデザートも季節のみずみずしい果物が中心になっており、重たいという印象のあるフレンチのデザートだが、この店にあってはそのような感じは全くしない。
コースの皿が進むごとにいつしか笑顔になってゆく。
ワインはあまり料理の邪魔にならないものをと思いつつ、乾杯のシャンパンの後、2004年に新しくできたフランスのシャトーの初物という言葉に引かれて、その白ワインを注文した。「ノンフィルター」でろ過しないまま詰めたというワインは、白というより琥珀色で、味はまだ若く、甘さが強いがかなりのコクである。ちょっと今までに体験したことのないワインだった。
こういった店でワインに合わせて料理を注文するということはしないが、結果として力強くも優しい料理とよく合ったと思う。
デザートの前には、予め「誕生日祝い」で来店する旨を告げておいたおかげで、お店の方が小さな花籠に細い一本のキャンドルを立ててテーブルの上へ。店員の「おめでとうございます」の言葉に促されて、本人(相方)がキャンドルの炎を吹き消すと店内で拍手が沸くという趣向である。テーブルに置かれた花籠は、お店からの心づくしのプレゼントということで、帰りに袋に入れて持ち帰らせてくれる。
野菜をメインに据えた料理というコンセプトといい、記念日のささやかな趣向といい、元町というロケーションと合わせて女性にはきっと気に入ってもらえるお店である。
昨今、横浜の山の手地区もみなとみらいの商業地化のあおりが少しずつ押し寄せているような気がする。山下埠頭の象徴の一つであった赤レンガ倉庫もいつしかデパート化してしまった。外観はわずかにかつての倉庫の佇まいを残してはいるが、そこが本当に倉庫だった頃は遠めに眺めつつあまり人の多くない道を散策できるスポットに、今や多くの老若男女が集う様を見るにつけ少々寂しさを覚えてしまう。
私が好きだったエキゾチックなヨコハマは、どこに向かうのだろう?
元町が、そしてそこにひっそりと店を構える修廣樹がこの時代の大波にのまれないことを祈りつつ・・・・・・
食事を楽しみつつ、お店のオーナーの語った薀蓄によれば、この店のシェフの下で修行した方がとある都内のフレンチレストランを開業したそうな。そしてそのお店は高級フレンチとして人口に膾炙したそうな。どうやらかの高級フレンチ店は、先日発表された東京版ミシュランで★を一ついただいたそうな。
それはとても素晴しい朗報であり、修廣樹のシェフの素晴しさをも雄弁に物語るものではある。けれど、決して修廣樹が東京ミシュランに取り上げられるような店にならないよう、私としては祈るばかりである。
最後に、今まで釣りに関係する話ばかりをここに書いてきたけれど、あちこちにBlogを立てまくり、かようなよしなしごとを書きなぐるのも少々無節操な感もあり、この度釣り以外の記事もいっそここに書いてしまおうと思い立った。以前と比してなかなか釣りにいけない現状もあり、Blogを分散化させる意味がなくなってきた、そう感じるからである。
別途書いている釣魚料理のBlogは、発案者の東京はぜさんの意向に従って、今までどおり残す。
落書きの第一弾を書くにあたり、ここは釣りメインでありながら何でも書いてしまう雑記帖、落書き帖となってしまうであろうことをお断りしておきたい。
(了)
それはとても素晴しい朗報であり、修廣樹のシェフの素晴しさをも雄弁に物語るものではある。けれど、決して修廣樹が東京ミシュランに取り上げられるような店にならないよう、私としては祈るばかりである。
最後に、今まで釣りに関係する話ばかりをここに書いてきたけれど、あちこちにBlogを立てまくり、かようなよしなしごとを書きなぐるのも少々無節操な感もあり、この度釣り以外の記事もいっそここに書いてしまおうと思い立った。以前と比してなかなか釣りにいけない現状もあり、Blogを分散化させる意味がなくなってきた、そう感じるからである。
別途書いている釣魚料理のBlogは、発案者の東京はぜさんの意向に従って、今までどおり残す。
落書きの第一弾を書くにあたり、ここは釣りメインでありながら何でも書いてしまう雑記帖、落書き帖となってしまうであろうことをお断りしておきたい。
(了)
Posted by You at 00:27│Comments(5)
│グルメな話
この記事へのコメント
相方さんの誕生日オメデトウございます!!(遅
中々素敵な誕生祝いをされたのですねぇ・・・
結婚前、色々と食べ歩いていたのを思い出しました・・・
今となっては無縁、用語を忘れてメニューも半ば理解不能になってます(^_^;)
「最後に」は私も漠然と同じようなことを考えておりました。第一弾は、家族旅行でしたが、、、なんとか無理矢理釣りに結びつけてどっちつかずになってますが(^^ゞ
中々素敵な誕生祝いをされたのですねぇ・・・
結婚前、色々と食べ歩いていたのを思い出しました・・・
今となっては無縁、用語を忘れてメニューも半ば理解不能になってます(^_^;)
「最後に」は私も漠然と同じようなことを考えておりました。第一弾は、家族旅行でしたが、、、なんとか無理矢理釣りに結びつけてどっちつかずになってますが(^^ゞ
Posted by taka at 2007年12月04日 10:08
幸せそうで・・・
こんな店・・・久々に行って見たいなぁ~
新婚旅行前を思い出しました。。。
その前に、満馬券~)笑(
こんな店・・・久々に行って見たいなぁ~
新婚旅行前を思い出しました。。。
その前に、満馬券~)笑(
Posted by daisuke at 2007年12月04日 21:25
takaさん、遅くないですよ、実は誕生日は3日で、フライングしただけなので~(^^ゞ
以前(かなり昔・・・)一度行ってまして、今回が二度目です。相変わらずすばらしいお店でした。
どうせ贅沢するなら、下手な有名店に行くよりお奨めです。私の中では★3つですね(笑)
でもdaisukeさんとこからじゃ、ちと遠いかな!?
以前(かなり昔・・・)一度行ってまして、今回が二度目です。相変わらずすばらしいお店でした。
どうせ贅沢するなら、下手な有名店に行くよりお奨めです。私の中では★3つですね(笑)
でもdaisukeさんとこからじゃ、ちと遠いかな!?
Posted by You at 2007年12月04日 23:39
すてき~~~~~~~~!!!!!!!
有馬・有馬・有馬・・・・・
有馬・有馬・有馬・・・・・
Posted by 東京はぜ at 2007年12月05日 22:26
有馬でいい最後を締めくくりたいですね~(笑)
そうすれば素敵なX'masも過ごせるのになぁ。。。
でもX'masシーズンは、オシャレな店に行くと混むので、私は専ら和食の店専門ですが・・・
そうすれば素敵なX'masも過ごせるのになぁ。。。
でもX'masシーズンは、オシャレな店に行くと混むので、私は専ら和食の店専門ですが・・・
Posted by You at 2007年12月05日 22:52
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